蓄電池ではなく蓄電池システム | 全体構成を把握しよう

蓄電池選びのポイント

はじめに

この記事では蓄電池の選択の際にポイントとなる機能/性能について、導入検討時、導入後の運用経験も踏まえて考察しています。

蓄電池の機能/構成は案外複雑

蓄電池の選択は意外と難しいです。正確にいうと蓄電池単体ではなく蓄電池システムを選ぶことになります。蓄電池へ充放電をするパワーコンディショナーは蓄電池本体と並ぶ必須の主要機器です。他にも運転管理のための機器や宅内配線への組み込むための装置も必要で、メーカによってそれらの構成は多種多様です。

カタログには、基本となる蓄電池容量以外にも様々な機能、性能に関わる指標が記載されています。機器構成も蓄電池とパワコンの一体型、独立型等もあり、機器構成は設置場所の確保や、設置工事の規模にも関係してきます。

太陽光システムの場合は機能的にはもっとシンプルで、パネル容量と屋根配置が大きなポイントでしたが、それに比べると検討すべき項目は多岐にわたります。

私も蓄電池導入を検討する際には、カタログを読み込み、販売施工会社に問い合わせもしました。一方、メーカによって機器構成にも差があり、スペックの記載方法もまちまちで、なかなか単純に優劣を比較とはいかないです。

実際に蓄電池を設置、運用して初めて理解できた部分も多いですので、そのあたりの経験を踏まえて考察を加えておりますので、一意見としてご参考ください。

蓄電池システムの主な構成ハードウェア

下図に蓄電池システムを構成する主なハードウェアを示します。いずれも必須のハードウェアであり、どの蓄電池システムもこれらの4種類の機能を含んでいます

これらの機能をどのように物理的ハードウェア組み合わせるかはメーカの設計次第であり、メーカの個性やマーケット戦力が現れるところといえます。

蓄電池システムの構成ハードウェア

蓄電池本体

言うまでもなく、電気を貯める最重要のハードウェアです。電気を貯める多数セルから構成されており、容量に応じて本体サイズも大きくなります。加えて、充放電コントロール、充放電量の計測を行う電子回路が搭載されています。

パワーコンディショナー(パワコン)

蓄電池に電気を出し入れするための機器です。蓄電池への電気を出し入れは直流で行なう必要があるため、送電線や自宅内の電気である交流と相互に変換する機能を持ちます。パワコン出力の性能により全負荷対応/特定負荷対応が左右されます。また、太陽光発電からの変換機能も同時に担う装置はハイブリッドタイプと呼ばれます。

制御・通信関連

蓄電池へ最適な充放電を行うための情報収集、制御を行います。マネージャーに相当するハードウェアです。蓄電池の容量だけではなく、電流センサを用いて、制御上必要となる太陽光発電からの電流量、電力会社と送受している電流量を常にリアルタイムで監視しています。

それらの情報を元に、設定した運転モードに沿って、パワコン対して充放電のコントロールを指示します。また、無線LAN等を通じてインターネットにアクセスし、運転管理の情報の管理や、日照量の予測情報取得を行い、メーカ、機種によってはスマホアプリと連携します。

配線・配電関連

蓄電池システムを自宅内に組み込むために必要なハードウェアで、自宅の分電盤の周辺に物理的に設置されます。最も基本的な機能としてはブレーカ(異常時に電気を遮断する機器)も含まれます。

一方、高機能化のため既存の宅内分電盤を新規に取り換えることを前提としているシステムがあったり、また、特定負荷の場合は別途専用の分電盤の追加する必要があったり、構成や施工インパクトは様々です。

費用も選択オプションとなっている場合が多く、必須であるにも関わらず見積もり段階で見えてくる費用です。設置場所や設置工事の大小にも関連してきますので、機器選定時には実は重要なポイントです。

メーカ、製品でパッケージはさまざま

これらの構成ハードウェアについて、実際どのようにパッケージされているかはメーカや機種によって異なり、それぞれの製品の特徴となっています。

一方、どのようなパッケージ構成でも必ず一長一短があります。全て個別機器であれば拡張性に優れるますが、取り付けが必要な装置が増え、配線は複雑になります。

(参考)テスラのパワーウォールの場合

  • 蓄電池とパワコンが一体化されています。それ以外の機器については、ゲートウェイと呼ばれる装置に全て一体化されています。
  • 機器として2つのみです(本体、ゲートウェイ)。後付け用途に特化し、小型化/一体化によって、設置工事を最小限に抑えた構成といえます。

まとめ

この記事では、蓄電池システムの基本的知識として、システムを構成する4つのハードウェア要素を示しました。

蓄電池本体が最も重要なのは言うまでもありませんが、パワコン、制御・通信、配線・配電についてもある程度の予備知識があると、より適切な蓄電池選びができると思います。メーカのカタログでは、どのようにパッケージされているかも着目してみていると理解が深まるはずです。

次の記事では、蓄電池本体に次ぐ重要機器であるパワコンに着目し、パワコン出力、単機能/ハイブリッド等について考察します。

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