はじめに
国内で取り扱いのある蓄電池システムのメーカは10社以上あります。
蓄電池はこれからの時代に有望な高成長マーケットであり、大手メーカから新興メーカまで、かなり激しい競争が行われていると言えます。
蓄電池システムで比較すべき項目は多いですが、視点を変えて主要メーカのポジションを機器構成の観点から考察してみました。この機器構成は、システム設計からマーケット戦略の根幹とも言え、各社の立ち位置が見えてきて興味深いです。
ポジションマップ | メーカ比較
分離型/一体型、ハイブリット/単機能という機器構成の観点から、主要メーカの製品ポジションをマッピングしてみました。合わせて蓄電池の容量も示しています。
こうしてみると、同じ蓄電池システムといっても、大手メーカと新興メーカでは、製品のコンセプトがかなり異なることがわかります。
大手メーカ
シャープ、パナソニック、京セラ等は、太陽光システムでも国内大手であり、その強みを生かし、既存の太陽光システムを拡張する形でシステム設計&商品設計をしているといえます。
- 様々な需要に対応する必要があるため、機能毎にモジュール化し、ユーザの要望に応じて最適に組み合わせることができるのが特徴です。太陽光システムで培ってきたパワコン技術がベースにあり、ハイブリッド型に強いのは当然といえます。
- 営業上も既設の自社太陽光発電システムとセット、あるいはシステム更新という形で蓄電池を売り込むことができます。特に、卒FITユーザは、蓄電池追加、太陽光発電システムの更新需要を狙える大きなマーケットと言えます。
- 機器がモジュール化されているため、フルスペックを求めるとその分だけ機器数も増え、配線も複雑となります。その影響は導入コストとしてユーザが負担することになります。その例として、200Vの全負荷対応しようとすると、専用機器を追加する必要があるメーカ/機種も少なくありません。
- パワコンの機能/性能的には、やはりハイブリッド型が有利ですので、新築等で蓄電池を太陽光とセットで設置する場合は、有力な選択肢になるかと思います。
ニチコンは蓄電池システムが最大手ですが、専業であり後付け設置をメインとした商品展開に見えます。最近はV2H対応という新たな需要に合わせて、上位機種はトライブリッド型をアピールしています。
新興メーカ
豊富なバリエーションや信頼感/安心感という意味では大手には太刀打ちできません。そこで、需要の高い製品にターゲットを絞り、基本性能の高い製品を低価格で提供することで勝負しています。
- いずれも容量が大きく全負荷対応に対応しています。また、太陽光システムのメーカを問わずに、誰でも安価に後付け設置できるように、単機能と割り切っているのが特徴と言えます。製品も比較的コンパクトで、設置、配線工事も小規模で済みます。
- スペックが合致しているのであればお得です。特に後付けとなる卒FITユーザには魅力的な選択肢といえます。
まとめ
同じ蓄電池システムでも、従来からの大手メーカと新興メーカではマーケット戦略が異なり、それが製品コンセプトにも表れているのが非常に興味深いところです。
今の時代は、技術レベル、信頼性に大きな差があるとは考え難く、あとは価格含めた総合的な商品力の勝負と思われます。いずれにせよ、ユーザにとってはとても悩ましい選択です。
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