はじめに
蓄電池を設置することで、その容量分だけ自家消費の最大化が行われます。そして実際に自家消費できる電力量は、日々の発電量と消費量の関係で決まってきます。
そこで、自家消費が可能な電力量について、我が家の2022年の実測データを元に数値的な考察をしてみました。この結果をベースに、日々の変動、季節の変動を踏まえ最終的に蓄電池の容量を判断していくことになります。
我が家の基本データ
我が家は4人家族で高校生と大学生の子供がいます。オール電化住宅で4.14kWの太陽光発電を設置しています。2022年の年間発電量は5400kWhでした。
立地的にも日照にも恵まれている神奈川の三浦半島で、太陽光パネルも真南設置という点で、一般と比較するとパネル当たりの発電量は高めかもしれません。
同年の年間消費量は7200kWhです。ちなみに、子どもが小さい頃は6000kWh程度でしたので、子どもの成長が消費量に与える影響は大きいと言えます(汗)。
なお、発電中のリアルタイムでの自家消費量(発電と同時に消費される電力量)は年間1600kWhです。年間発電量の約30%に相当します。
日々の買電量と売電量の比較
蓄電池の容量は、供給元となる発電量、及び需要先となる消費量の関係性で見る必要があります。その際に、発電中にリアルタイムでの消費される自家消費量は考慮不要ですので、その分を差し引くと、それぞれ売電量と買電量が蓄電池の容量に大きく関連することになります。
下図は、2022年の我が家の日々の買電量、買電量をそのまま時系列に並べたものです。それぞれ、太陽光発電システムで記録されている基本情報であり、また、契約先電力会社でも記録している情報ですので、それらを参照することで容易にグラフ化することが可能です。
このグラフから、次の特長が挙げられます。
- 買電量については季節による変化が大きく、冬季は冬季以外の2倍以上となっているのがわかります。日々の変化もありますが、売電量の日々の変化に比べれば小さいということができます。
- 売電量については、天気、日照量に応じた日々の変化が目につきます。ゼロから最高20kWh程度まで大きな変動があります。ある程度の季節変動もあり、日照量が少ない時期(11-2月)は、日照量が多い時期(3-6月)の75%程度になります。
自家消費が可能な電力量
ここからが本題です。蓄電池によって新たに自家消費が可能となるのは、買電量と売電量が重なる部分、具体的には大小関係を比較し値が小さい方です。この値がその日の自家消費可能な最大電力量となります。
この重なり部分を蓄電できれば買電量と売電量が相殺され、その単価の差分による経済的効果が得られることになります。
買電量と売電量が重なる部分について、下図では視認しやすいように緑色で示しています。
買電量及び売電量それぞれのピークが削られて圧縮された感じになっており、自家消費という観点では、蓄電池の容量はこの最大値以下でよいことになります。売電量が上回っている日においては、その超過分が引き続き売電されることになります。
買電量、売電量の大小関係の比較は、共に単純に0~24時で区切られた通常の一日の合計値を元にしています。厳密には、買電量について日没後から区切るのが理想ですが、日々の変化としては売電量に比べれば変動は限定的であるため、自家消費可能な量にはほとんど影響しないと考えられます。
具体的に数値で見てみると
今回の基本データを元に、緑の領域を蓄電池により全て自家消費できると仮定した場合(最も理想的なな条件)は、設置の前後で自家消費量、売電量、買電量は下の図のように変化します。今回のモデルでは、蓄電池の設置前と比べて、自家消費量は約3倍に増えることになります。
まとめ
この記事では、蓄電池によって自家消費が可能となる電力量は、買電量と売電量が重なる部分であることを説明し、例として具体的な効果を定量的に示しました。これで、蓄電池の容量について少しイメージがしやすくなったと思います。
次の記事では、いよいよ具体的に最適な蓄電池容量について考察します。
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