はじめに
前の記事(最適な蓄電池容量 | 容量と自家消費カバー率)では、我が家の買電量及び売電量の日別データから、新たに自家消費可能となる電力量を計算し、それに対する最適な蓄電池の容量を求めました。
この記事では、我が家の結果をベースに、年間発電量、年間消費量によって、最適な蓄電池容量がどのように変化するか試算しましたので紹介します。
なお、ここでの蓄電池の容量は、実際に使える容量である実効容量の数値ですので、その点を最初に説明したいと思います。
実効容量とは?
蓄電池の容量といっても、カタログでは設計容量(設計上の容量)を前面に出しているメーカが多いです。その数値を機種名の一部にそのまま反映しているメーカもあります。
その場合、設計容量とは別に、実際に利用可能な容量として実効容量が括弧書きで記載されており、設計容量と比べると1割程度低い容量になっていることが多いです。一方、テスラのパワーウォールのように情報としては実効容量(13.5kWh)のみが明示されている場合もあります。
ユーザサイドに立てば、実際に使える実効容量の方が重要であり、設計レベルの情報はあまり意味がないとも言えます。よって、性能の指標としては実効容量を前提とすべきで、ここで目安としている数値も実効容量ですので、その前提でご検討下さい。
蓄電池容量(実効容量)の目安
前の記事では、我が家をモデルに潜在的に自家消費が可能となる電力量の90%カバーできる蓄電池容量として、11kWhという数値を導きました。
我が家は、年間発電量5400kWh、年間消費量7200kWhですが、そのデータをベースに年間発電量、年間消費量の比率を調整して同様の試算を行い、それぞれ目安となる最適な蓄電池容量を算出しました。
その結果として、下図に年間発電量、消費量に対する蓄電池容量(実効容量)の目安を表しました。ここでは蓄電池容量を全て使い切る前提としています(仮に、常に最低1割残したい場合は、1割分の追加容量が必要となります)。
縦軸は年間の発電量です。年間発電量はパネル容量のみならず、地理的ロケーションや屋根の配置等に大きく依存します。我が家もパネル容量は4.14kWhですが、設置環境のお陰で高めの数値になっていると思います。よって、パネル容量ではなく実際に年間発電量で判断することをお勧めします。
横軸は年間の消費量です。我が家のオール電化の消費量(7200kWh)を基準とし、消費量を2割増減させたケース(それぞれ8600kWh,5700kWh)で試算しました。非オール電化のケースとして、我が家の消費量からオール電化分を除いた消費量(4000kWh)でも試算しています。
考察
当然ですが発電量、消費量が大きいほど大きな蓄電池容量が目安となります。
左下から右上のライン上は年間発電量と年間消費量がバランスしており、蓄電池容量に応じた自家消費量向上の恩恵を直接的に得ることができます。右上に行くほど潜在的に自家消費可能な電力量も増えるため、容量を増やした分の経済効果が得られます。
一方、左上と右下は発電量と消費量が若干アンバランスです。自家消費可能な電力量はどちらか低いほうに制限されるため、単純に蓄電池容量を大きくしても有効に活用できないといえます。
前の記事(オール電化の消費電力 | 余剰電力の有効活用)でも触れていますが、具体的に4000kWh程度以上の発電量があれば、余剰発電の有効利用という観点ではオール電化で電力消費量を増やした方が蓄電池の経済効果が高くなると言えます。
この数値はあくまでも目安です。仮にこの値から少し外れたとしても、自家消費による恩恵は十分得られると考えて下さい。容量が小さめの場合でも、容量相応の自家消費量の最大化効果は確実に期待できます。一方、大きめの場合も、仮に使いきれない場合でも翌日の日照量不足をカバーできる等の効果も期待できます。
まとめ
年間発電量と年間消費量の値から、最適な蓄電池容量の目安を算出しました。年間発電量と年間消費量は比較的把握しやすいので参考にしやすいかと思います。
基本的には、発電量と消費量がバランスしているほど自家消費可能な電力量が増え、その電力量に応じた大きな容量を選択することで、より経済的効果を高めることができます。
ざっくり言えば、年間4000kWh程度以上の年間発電量があり、かつオール電化であれば、少し余裕をみて10kWh以上の容量を選択するのがおすすめです。
繰り返しますが、我が家の実績データを元にした試算結果ですので、1つの目安として参考にしてください。
最適な蓄電池容量が求められたところで、次の記事では、主要メーカ、製品の蓄電池容量を一覧化しています。
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