はじめに
この記事では、日々の発電量の年間の変化に着目して、データの分析、考察を行いました。
日本の四季の豊かさ
突然ですが、日本は四季が豊かだと言われています。それは季節毎の風景、植生、食べ物、人々の活動の豊かさであり、更にはその要因となる天候、寒暖差も含まれます。
私は仕事の関係でたまに海外に行きますが、東南アジアでは雨季はあるにしても基本温暖で寒暖差は少ないですし、中東あたりだとずっと暑くて雨もほとんど降らず季節感が感じられません。
日本は日本で確かに夏は暑いし冬は寒いし適応するのは大変ですが、他の更に厳しい地域と比べれば十分許容範囲であり、四季折々の風景やそれに伴う時の移ろいが感じられると思えば、やはり恵まれている環境といえます。
この四季の変化、日々の変化をもたらしている最大要因は日照量といえます。つまりは太陽光の発電量の変化そのものということができます。
年間の発電量の推移
太陽光発電を設置されている方であれば、一度はチェックされたことがあろうかと思いますが、基本となる日々の発電量のデータに着目してみます。
下記のグラフは、少し古いですが、我が家の2012年の日々の発電量のデータで、月平均、年平均した値も重ねています。これから、年平均に対する日々の変化と、季節毎の変化の大きさが読み取れます。
月間平均グラフは、メーカカタログや施工業者からの販売資料でよく目にすると思います。一般的に、4-5月が太陽高度や気温の関係で、発電条件がベストな時期となるため、月間でもピークが出やすいですが、この年は8月が好天続きで最高となりました。
月間平均グラフは季節変動、数値が直観的に把握できます。従来の売電中心であった時は、日々の変動は重要ではなく、月間の売電量、その収入がわかればよいのでこれで十分でした。また、蓄電池の容量を決める際にも、発電量が低くなる冬季の月間平均発電量が1つの目安といえます。
一方、蓄電池を設置して経済効果を得るには、日々の発電量の変動も意識しておく必要があります。具体的に、日々において日没後に備えフル充電できているかがポイントになります。
日々のデータで見ると、発電量も月間平均からはイメージできないほどの大きな変動を繰り返していることが改めて理解できます。それだけ、日々の天気に大きく左右されているということになります。
日々の発電量の分布
日々、発電量は大きく変動していること自体はわかりますので、次はその変動具合を別のグラフで可視化してみます。発電量を1kWhで刻んで、発生度数分布、累積度数に置き換えました。
パッと見た感じは、最低の1kWhから最高の30kWhまで広く分散しており、累積度数も単調に右肩上がりで増加しており、あまり特徴のないようには見えます。
ただよく見ると、17kWh付近から上がボリュームゾーンとなっており、累積度数の角度もわずかながら立ち上がっており、概ね天気の良い日が該当することになります。
上記グラフの中で、前の記事と同じく発電量のポイントを2点挙げています。
- 発電中の自家消費分(3kWh)
この分は最低限発電してほしいところです(さもないと日中の昼間料金で買電が発生します)。これは年間92%の日々で達成可能です。残りの8%は終日灰色の雲が垂れ込めて、雨が降るような日が該当することになります。感覚的には頻度としては妥当な印象です。
- フル充電可能(15kWh)
我が家では13.5kWhの容量をもつパワーウォールにて90%(約12kWh)の充放電で運用しており、発電中の自家消費分も考慮するとフル充電に必要な最低発電量は15kWhとなります。その基準は年間60%の日々で達成できることがわかります。
もちろん季節の偏りはあるので、冬季は達成できない日々が多めに発生する一方、冬季以外は達成できる頻度が高くなります。
まとめ
年間の日毎の発電データを元に、発電量に関するデータをグラフ化し考察を行いました。月間平均グラフを見ると季節毎の発電量推移を捉えることができます。蓄電池の容量を決める上で、季節差を押さえておくことは重要で、具体的には冬季の厳しい時期の平均発電量が1つの目安となります。
また、日々の発電量を累積度数分布に置き換えると、どの程度の発電量がどの程度の割合の日々で発生するかが定量的にわかります。数値に置き換えることで感覚と合っているか検証するとともに、具体的な蓄電池の容量の判断材料となります。
蓄電池の容量の考え方については、別のカテゴリで詳細に取り上げていますので、併せて参照ください
我が家はモデルとしても平均的と思いますので容量(4.14kWh)が同程度であればそのまま参考となると思います。無論、地域の天候、パネルメーカ、屋根の配置等によって差は発生しますので、自宅のデータを分析してみることをお勧めします。
次の記事では、太陽光発電の今後の活用は売電中心ではなく、自家消費中心になることについて考察しています。
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